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キーワードから見る不変のマーケティング手法10選!

ARTICLE|2017年09月02日

2017年09月02日

IT業界は進歩が早いと言われるが、マーケティングも進歩は早い。今後のビジネスにおいて、ITとインターネットが大きな役割を持つ以上、 それらが進歩すれば当然、商売の方法にも進化がもたらされる。だが、なかなか最新のマーケティングについて本当の意味で理解している人材はまだまだ少ないのが現状だ。そこで、現段階でマーケティングにおける最新の手法およびキーワードと思われるものをピックアップした。ご存じない方は、こちらで把握していただければ幸いである。

1. インバウンドマーケティング

従来、マーケティングはアウトバウンドと呼ばれる方法で行われてきた。テレビCMや新聞、ラジオなど、マスに訴えかける媒体に広告を出すことを主とする。だが、アウトバウンドマーケティングは、広告を見たくない人、対象商品やサービスに興味のない人まで、広告に触れることとなり、邪魔者扱いとなることも多かった。インバウンドマーケティングは逆で「ユーザーが興味を持っている情報を発信することで、つながりを作り、商品やサービスの購買につなげていこう」と言った考え方である。

主な方法としては、ウェブ媒体を作り、情報を発信することだ。気になった人が媒体に訪れ情報に触れる。面白い情報を発信し続ければユーザーはリピーターとなり、媒体のファンとなる。後に発信している情報に沿ったアイテムやサービスを推薦し、購買につなげる。アイテムやサービスで素晴らしい経験を手に入れたユーザーは、発信されたアイテムやサービスを推奨し、自分自身から情報発信を行うようになる。

以上のような流れを考えておけばいいだろう。ユーザーの興味を探り当て、販売したいアイテムやサービスから大きくはずれないように情報発信するという、コンテンツ作成の技術が必要となる。従来の押し付け型ではない、ユーザーにとっても自然かつ優しいマーケティングだ。

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2. アンバサダー

商品やサービス利用者の中でも、特に愛情を持って使って頂いている利用者を「アンバサダー(大使)」とよぶ。企業はこのようなアンバサダーを仲間の一員として迎え入れ、企業活動と一体となって、商品やサービスを広げていく役割を担ってもらう。アンバサダーは、商品やサービスに関するイベントを行ったり、ブログやSNSなど自分自身の持つ媒体で、サービスについて執筆したり、あくまでもユーザー視点から広報的活動を行う。アンバサダーとなる報酬やメリットは、企業の打ち立てる企画そのものに依存する。Evarnoteアンバサダー・プログラムやネスカフェ・アンバサダーといった企画がこれにあたる。
Evarnoteアンバサダーの活動は上記で説明した通り。だが、ネスカフェ・アンバサダーにおいては、家庭用コーヒーマシンをユーザーに無料提供、コーヒーの詰め替え品を購入してもらい、コーヒー好きのコミュニティにアプローチしている。アンバサダーはサービスそのものや企業活動そのものに発言する機会もあり、あくまでもユーザー目線で商品やサービスへの提案を行う。

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3. アトリビューション

マス広告やネット広告など、認知を広げるための広告はいくつかあるが、それら全ての枠組みを外し、効果を測定する方法である。広告は互いに影響しあっている。テレビならテレビのみ、雑誌なら雑誌のみ、ウェブならウェブのみ、というわけではない。テレビと雑誌が互いに影響しあうからこそのコンバージョンもあるだろうし、ウェブと新聞が連動するからこそ発生するコンバージョンもある。今や、ユーザーがコンバージョンに至るまでの動きを、個々の媒体および広告効果の計測のみで分析するのでは、正しい結論は得られない。実施したマーケティング全体でどのような動きをユーザーがとり、どのように購入および利用まで辿り着いたのかを、細かく分析することに意味がある。
近年、インターネットや技術の進歩により、ユーザーの行動データを細かく取得できるようになった。これらのユーザー行動データを細かく分析することにより、どのような広告の出し方がもっとも効果的でどのように作用したのかを知ることができる。全体としての分析により、より効果的な目標達成までの道のりをたどることができるのだ。

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4. ソーシャルリスニング

インターネット上には、商品およびサービスに関する様々な発言が落ちている。TwitterやFacebook、ブログなどで生まれた発言だ。ネガティブなものやポジティブなもの、ユーザーの落とした発言には様々な特徴があるが、それらの発言をネット上からかき集めて分析していくことが重要視されている。ソーシャルが発達する前までは、マーケティング会社やアンケートなどで消費者の意見を集め、マーケティングに利用してきた。コールセンターへ寄せられる苦情や意見、感想などもこれにあたる。現在は、インターネットで商品名やサービス名を検索し、それにまつわる意見や感想を集めることにより、分析に有効活用できる口コミ資料を集める事ができるようになった。
ソーシャルリスニングは分析用のツールもあるので、調べてみると良いだろう。自動的にインターネット上から、キーワードにまつわる語句について集め、分析してくれる。ただし、ツールを導入したからといって、ソーシャルリスニングのデータを有効活用できるわけではない。集めた情報を細かく分析し、どのように商品やサービスを改善していけば良いか、答えに結びつける力が必要となる。ツールだけに固執するのではなく、自分自身でデータを見て想像力と共に答えを導きだす力を育てよう。

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5. エスノグラフィー

人の深層心理に秘められたニーズは、単純なアンケートやリサーチでは掘りこせない。そこで、ある集団の内部に入り込み、長期間にわたって集団の活動を観察、分析することで、真のニーズを掘り起こそうという試みである。例えば、ある無料通話・チャットアプリを提供する企業は、学生の授業およびゼミに参加し、ゼミの間に学生がどのようにスマホを使っているかを分析し、改善点を発見しているそうだ。チャット中に重要な投稿を「ピンで止めておく」ことによって重要な情報は残しておけるように改良したそうだが、この発見こそ、エスノグラフィーの効果だと言う。重要な情報もタイムラインが進むにつれてすぐに流れていってしまい、日程の確認などがしづらい、というポイントを学生生活の中から問題点として発見した。
単純なアンケートだけでは通用しなくなってしまった現代において、ある集団の長期的な観察は、ニーズ発掘のために重用視されている。

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6. O2O

オンライン上から発信した情報を中心に、オフラインへ誘導していこうという試みのことを指す。「オンライン to オフライン」を意味している。例えば、メールでクーポンを配信したり、ネット通販で手に入れたポイントを店舗でも使える仕組みなどが、これにあたる。
ただし、O2Oで効果的なのは、クーポン等の配信による来店促進、だけではない。自社ネットサービスの会員情報取得により、お客様個人に応じたサービスを行うことが目的となることも多い。例えば、お客様の好みや性格などにまで至る様々な情報を入力してもらい、代わりにクーポンを発行するという仕組みを作るとどうだろう。店舗側からサービスを行うとき、また、クーポンの発見やタイミングに至るまで、お客様の性質を知った上でサービスを提供することを可能とする。これまでよりも、より個人のパーソナリティーに即した対応が出来るということだ。
また、アプリを配信し、店舗周辺にいるお客様のみにクーポンを配信したり、企業のロゴをアプリ経由で撮影すると、クーポンが当たる、などといった行動に即した形で提供されることもある。来店と共に、お客様の状況や性質に応じたサービスの展開する際にも有効となる。

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7. ゲーミフィケーション

ゲームを行う時に皆さんは何を感じるだろうか。実は、ゲームを行う時に感じる楽しみ方や達成感は、マーケティングにおいても有効だ。ゲームを行う時に感じる感情を分解すると「行動の数値化」「進行状況の可視化」「達成感の提供」といった感情が生じる。これらの感情を持って、人はゲームを「楽しい」と感じるのだ。ゲームにおける楽しさをマーケティングに応用すると、どうなるだろう。
例えば、会員登録をしてもらい、商品やサービスの購入金額によって「レベル」があがったり「称号」が与えられたりする。このレベルや称号を使って、提供するサービスに変化をもたらすことも可能だ。またNike+というサービスを皆さんは覚えているだろうか。Nike+に対応したスポーツシューズを使うと、走った距離などが手持ちのipodに記録される。記録されたデータはウェブサイト上に投稿出来るので、友人と競いあえるという内容に、ゲーム性があった。
ゲーミフィケーションと取り入れることで「コミュニティの活性化」「リピート促進」「サイト内回遊性のアップ」「ブランディングの強化」などを可能とする。

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8. ビッグデータ

データを保存する技術は、ここ数年の間で格段に進化した。今まで扱うことの出来なかった膨大なデータを取得、保存し、マーケティングに活用することが出来るようになったのである。今や、位置、行動パターン、SNS、GPS、気象、どのようなデータでも仕組みによっては数値化することができる。ものによって、健康状態や睡眠など、体調さえも数値化が可能だ。
例えばコンビニエンスストアのポイントカードだ。ポイントカードを通じて、何を購入したのかを収集する。すると、それぞれの商品がどのようなタイミングで売れ、どのような商品のリピートが多いのかなど、様々な角度から商品について分析出来る。そこに天候や場所などを加えてみたらどうだろう。雨の日にはどの商品が売れ、どこの店舗でどのようなタイミングで何が売れたのかなど、膨大なデータの中から、従来見つけ出せなかったお客様のニーズを掘り出す事ができる。また、Tポイントカードのように、様々な店舗およびサービスで利用出来るカードにおいては、どこで給油し、どこで駐車場を利用し、どこで食品を買ったのか、など多くのデータが取得できる。
ただし、分析するデータが膨大なため、本当の答えを見つけ出すには想像力と高い分析力が必要となる。近年「データサイエンティスト」という職業がピックアップされ始めたが、データサイエンティストはビッグデータを分析するプロフェッショナルである。つまり、専門職が生まれるほどに、膨大なデータを相手にするのは、個人の能力が問われるということだ。

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9. データサイエンティスト

ビッグデータ時代において「21世紀で最もセクシーな職業」とまで言われている職業だ。技術の進歩により、様々な現象や行為を数値化出来るようになった。だが、膨大なデータひも付け、分析していくのは高度な分析力が必要となる。そこで登場するのがデータサイエンティストである。ITの知識を持ちながら、統計学やマーケティングにも精通し、魅力的な想像力を持つ、膨大なデータの中から様々な可能性や提案を行える人材だ。将来的に非常に重要な職業となってくるが、人材がほとんどいないため、現段階ではデータサイエンティストとして活動出来る人材の育成が急務となっている。
IBMやオグルヴィ(広告)などが養成コースを企業向けに提供している他、立教大学経営学部、慶応技術大学SFC研究所、多摩大学経営大学院なども「データサイエンティスト育成コース」を創立を発表した。今後、ビッグデータを扱える人材を企業内に持てるかどうかが、マーケティングにおける一つの鍵となりそうだ。

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10. CMO

チーフ・マーケティング・オフィサーの略で、マーケティングにおける最高責任者のことを指す。CMOの役割は、社内マーケティングの役割、範囲を定義すること。また、マーケティングを推進し、活性化し、実践すること、となる。つまり、企業のマーケティングを推進していく核となるポジションだ。重要かつ企業の命運を分けると言っても過言ではないほどに必要な立ち位置であるが、ところが日本の企業においてCMOはほとんどいない。企業内でCMOを設置しているのは全体でたった5%だという。一方で、マーケティング最前線の米国では、CMOを設置している企業が62%に及ぶ。マーケティングの全体を統括する人間がいないことそのものが、日本の企業力の低下とまで言われているのである。
CMOの素質は豊富なビジネス経験やマーケティング経験を持っていることを大前提とし、広告会社やクリエイティブ会社をパートナーとして上手く扱える「右脳的」力と、ビッグデータを分析して数字的にも方針を打ち出せる「左脳的」 力を同時に持っていることだ。だが、どちらも備えている人材はほぼ皆無のため、大抵は補佐と連携してミッションをこなしていく。右脳的力が弱ければ、クリエイティブに通じたチームが補佐に入り、左脳的力が弱ければ分析に強いチームが補佐として入る。いずれにせよ、マーケティングを統括し、実践していくポジションが無いということは、今後の日本企業におけるマーケティング力の低下に直結していくだろう。 

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まとめ

以上、2013年 – 2014年におけるマーケティングで気になったワードをご紹介させて頂いた。ITの技術が進歩し、様々なデバイスが生まれ、取得できるデータや必要なポジション、考え方が増えてきたことが実感出来る。日本において最新のマーケティング手法を理解し、実践している企業はまだ少ないと言えるが、だからこそ、最前線の論理を知り、実践することによって、よりビジネスを物にしていけるチャンスがあるということだ。すぐに実践できるものと出来ないものがあるが、発想次第では成し遂げられることも多いだろう。ぜひ、企業活動に取り入れて、今後のビジネス展開に活用して頂けたらと思う。きっと、何か見えてくることもあるに違いない。

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shota ueyama

起業家×ウェブクリエイター。日本国内だけでなく世界中で活動。 2015年、セブ島にて立ち上げた日本人対象のクリエイター育成スクールを売却。 帰国後は起業家育成プログラムを立ち上げ、起業家育成に従事するほか、中小企業様のマーケティング戦略策定、ウェブ開発技術を個人で提供。 現在はアメリカの投資家と組み、日本において、ベンチャー起業の投資および、取締役としてメンバーに参加する形での、企業支援・起業家育成活動に取り組む。

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